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2008年4月3日 7:07 PM カテゴリ:ほん

鉄鼠の檻







京極夏彦

講談社文庫



忽然と出現した修行僧の屍、山中駆ける振袖の童女、埋没した「経蔵」…。

箱根に起きる奇怪な事象に魅入られた者―骨董屋・今川、老医師・久遠寺、作家・関口らの眼前で仏弟子たちが次々と無惨に殺されていく。

謎の巨刹=明慧寺に封じ込められた動機と妄執に、さしもの京極堂が苦闘する、シリーズ第四弾。



—–

縦:15cm

横:10.5cm

厚さ:5.5cm

ページ数:1359p



とにかく膨大な紙量。それこそ凶器になりそうな分厚い一冊です。

私の弱い頭も、よく頑張ってくれました。。。



「禅」を中心に、仏教の歴史、脳科学について深い考察が語られています。

下手な禅入門書よりも分かりやすくまとまっている(らしく)、葬式仏教の私でも、すんなりと禅の世界に触れ、入り込み、憑かれる事が出来ました。





広がりに広がって、こんがらがって、しっちゃかめっちゃかになっていた伏線たち。

それがラスト数十ページでスルスルと集まり加速収斂していく様は、もうなんとも言えない気持ちよさ。



そして毎回ため息を吐いてしまう、美しい情景描写。

その言葉の選び方、韻の踏み方の心地良さは、実世界をいとも簡単に壊してくれます。

ふと振り返れば当然障子戸があり、細く空いた隙間には黒い木々が霞むほど牡丹雪が舞っている・・・なんて錯覚してしまうのでした。





?が残った禅問答の解、拾いそびれた伏線がありそうなので、再読しようと思います。





お気に入りの言葉は、

『見事。見事な領解である』



『病の者は健康を意識する。しかし本当に健康な者は健康を意識することはないだろ。健康と云う概念が失われている状態が真の健康なんだね。

自己に対しても世界に対してもそれは同じで、自分とは何か世界とは何かと問うているうちは本当ではない。自分とか世界とか云うものがすっかりなくなって、初めて自分があり世界がある。』

2008年2月13日 1:55 PM カテゴリ:ほん

るんびにの子供


宇佐美 まこと

メディアファクトリー



主婦の「私」は、幼稚園のころから「久美ちゃん」が見える。

他の人には見えない、幼い姿のままの久美ちゃん……。

第1回『幽』怪談文学賞において、短編部門大賞を受賞した表題作のほか、

平凡な女性の日常に陰のように寄り添う怪異を描く全5編。



—–



一瞬の怪異の恐怖よりも、

何か異質なものが馴染んだまま、緩やかに続いていく日常の恐ろしさ。

最近のドタバタホラーにがっくりしていた心を癒してくれる(?)お話に出会えました。



ありがちな、「いきなり何か怖い事に巻き込まれる」展開ではなく、

当たり前に歩いていた道が、実は知らない場所へ続いていた事に気づいた時の静かな恐怖と、それでも立ち止まれない絶望。

その「不安」が心地良い一冊です。



個人的には、捻った筋と妹親子の描写が秀逸な「手袋」と

少しノスタルジックな味わいの「とびだす絵本」がお気に入り。



ただ、最後に出てくる『なんか怖いことが起こったようだぞ!』という説明をするための第三者は要らないような気も。

なんというか、ここだけは安いホラー番組のオチのようなんだよなあ。

折角じっとりした良いお話なので、もうちょっと余韻を楽しませてください。。。







お気に入りの言葉は、

『氷川きよし?あんたファンなの?知らなかった』

2008年2月7日 1:42 PM カテゴリ:ほん

冷蔵庫のうえの人生


アリス カイパース 八木 明子

文藝春秋



産婦人科医の母と15歳のクレアは、冷蔵庫のドアにメモを残す。

買い物のリスト、ボーイフレンドのこと、学校のテストのこと。

そしてある日突然おそった母親の病気…春から夏へ、夏から秋へ。

強かった母と、わがままだった娘は、時に傷つけあいながらもささえあいふたりで生と死をみつめていく。



—–



ダ・ヴィンチを読んで気になったので購入。





一冊全てメモだけで構成されているので情報が少なく、

うっかりすると『お手軽に泣ける本』に感じてしまいます。



もう一歩近づいて、行間や文字の大きさの意味を読み取れば、それなりに良い作品。

(が、それでも私の好みではありませんでした。残念。。。)





お気に入りの言葉は、

『追伸・愛しています。』





以下、メールフォームからいただいたメッセージへのお返事です。


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